孫正義さんの「10億AIエージェント」構想を聞いて考えた、人間の役割とAI社会の未来

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はじめに

「SoftBank World 2025」(2025年7月16日開催)がYoutubeで配信されていて、ここで、孫正義さんの講演を聞きました。

その中で特に印象に残ったのは「10億AIエージェント」という未来のビジョンです。

これまで私たちが思い描いてきたAIは、ChatGPTのように「問いかけに答える」存在でした。しかし孫さんの構想では、AIが提案し、自律的に行動し、さらに他のAIと連携してタスクを実行するという世界です。

私はその話にワクワクする一方で、「では人間の役割はどこに残るのか?」という疑問も湧きました。今回は、講演を聞いた感想と、ChatGPTとの対話を通じて整理された私の気づきをまとめます。


そもそもAIエージェントとは?

孫さんは、説明の中で「Crystal Intelligence」という構想で説明していましたが,会社の中に専用のAIエージェントを作るんだと言ってます。

「AIエージェント」とは、単に質問に答えるAIとは異なり、目的を与えられると自律的に判断・行動し、必要に応じて他のAIと連携する存在です。

例えば、社員一人につき数百のエージェントがいて、

  • スケジュール管理
  • 顧客対応
  • 資料作成
  • 会議の調整

などを自動でこなすとします。AI同士が連携することで、人間の手を借りずに複雑なタスクを完結できる世界です。孫さんの講演では、年内に社員1人につき1000のエージェント、最終的に10億エージェントのネットワークを目指すと語られていました。

生涯記憶が存在し、常時ONで連携する時代になります。すべての人がすべての過去の記憶をベースにした提案をもらい、そして各部署のエージェントがそれぞれに連携するんです。

今、人間がメールや会議でやり取りしている細切れでの時間ではなく、リアルタイムでです。ものすごくスピードが変化すると思います。

何時間もかけて議論しなくても、すでにエージェントが議論し、提案をまとめてくれるんです。しかも、膨大なバックグランドデータを使って。

すごくないですか?


孫さんが描く未来(10億エージェント構想)

この世界では、AIは「提案」だけでなく「実行」もします。さらに複数のエージェントが自律的に連携することで、休むことなく作業を行い、ほぼ無限の速度で社会を動かすことができます。

まるで画面の向こう側に、人間の分身のようなAIが無数に存在しているかのようです。

講演の中では、コールセンターのやり取りやチケットの手配などをAIエージェントが行う模様を映していました。

講演のポイント

“1人あたり1,000体”、グループ全体で10億AIエージェント構想

孫氏は、社員1人につき少なくとも1,000体のAIエージェントを活用し、ソフトバンクグループ全体で 10億体のAIエージェント を構築・作動させる壮大な計画を発表しました AI⇒SoftBank Groupソフトバンク朝日新聞

“クリスタル・インテリジェンス”と“スターゲート・プロジェクト”

  • クリスタル・インテリジェンス(Cristal Intelligence):2025年2月に発表されたAI基盤構想。社員一人ひとりの業務を学習し、自律的に支援・遂行する“相棒”的な役割を担うシステム AI⇒SoftBank GroupThe Vergenote(ノート)
  • スターゲート・プロジェクト(Project Stargate):大規模な演算能力のスケールアップを狙った構想で、チップ数・演算性能・モデル性能がそれぞれ10倍になる「10×10×10=1,000倍」、その繰り返しで最終的に 10億倍の演算進化 を実現し、「常識を超える変化」をもたらすビジョンを提示しました AI⇒SoftBank GroupソフトバンクAIsmiley

自己増殖と自己進化するAIエージェント

  • エージェントを統率する 「エージェントOS」 の必要性を強調しました。エージェント同士がバラバラでは意味がないため、協調・連携が不可欠です AI⇒SoftBank Groupソフトバンク
  • 次に、エージェントを自動生成する ツール基盤 が必要であること。
  • 最後に、エージェントが 「自らエージェントを生成し、強化学習により進化する」 自立したメカニズムを導入することで、自己増殖と自己進化を実現すると語りました AI⇒SoftBank Groupソフトバンク

“常時ON”・生涯記憶・Chain of Thought(思考の連鎖)

  • AIエージェントは「常時ON」で動作し、過去の会話や交渉、会議内容などを**生涯記憶(lifetime memory)**として保持して利用します AI⇒SoftBank Groupソフトバンク
  • 論理的推論ではなく、**Chain of Thought(思考の連鎖)**を100段階以上に重ねることで、ほぼ外れない高度な判断・思考が可能になると説明しました AI⇒SoftBank Groupソフトバンク

現場での活用イメージ

  • コールセンター:AIエージェントは、人間よりも迅速・深く応対し、会話内容やリアルタイム情報を理解したうえで、スーパーヒューマンな対応を実現すると紹介 AI⇒SoftBank Groupソフトバンク
  • ショッピングサイトなど:ユーザーの好みや購買履歴に基づき、AIが適切な提案や価格比較を行い、購買プロセスを代行する述べました AI⇒SoftBank Groupソフトバンク

広がる未来像:数千兆のAIエージェントが稼働する世界

社内に留まらず、社会全体で**何千万・何億・最終的には「数千兆」**規模のAIエージェントが活動する世界がくるとしました ソフトバンクアメーバブログ(アメブロ)AIsmiley

OpenAIとの対談:共創への意欲

孫氏はOpenAIのサム・アルトマン氏との対談で、ソフトバンクグループが OpenAIの最大級のエンタープライズパートナーであり、日本企業でのAI代理戦の最初の導入先になることに期待 を示し、対談は前向きに締めくくられました

構想のまとめ

テーマ内容
目標数値社員1人あたり1,000体、グループ全体で10億体のAIエージェント
中核構想Cristal Intelligence(クリスタル・インテリジェンス)
演算プラットフォームStargateプロジェクトで演算力を1,000倍サイクル ×3 → 10億倍
自己進化メカニズムエージェントOS/生成ツール/自己生成・自己学習
知能の進化常時稼働、生涯記憶、Chain of Thoughtによる高度推論
用途例コールセンター応答、EC提案、ネットワーク監視など
将来展望数千兆のエージェントが社会を支えるデジタル労働力へ
協業OpenAIとの連携によるエンタープライズAI共創

私は、問いかけてみました。

講演を聞いてもピンときません。

いったいどんな未来になるのでしょう?また、混乱はおきないんでしょうか?気になる点をChat GPTと議論してみました。

気になること①:人間の役割はどこに?

AIがどんどんタスクをこなす未来では、人間は何を担うのでしょうか? Chat GPTと議論してみました。

ChatGPTとの対話を通じて見えてきたのは、人間は価値観に基づいて選択する役割を担うべきだということです。彼がそう答えるんです。

AI(私)は効率や合理性に基づいた答えを出せますが、「どの方向を目指すか」「何を優先するか」は人間の判断に依存します。
つまり、AIが「どうやるか」を支える一方で、人間は「なぜやるのか」を決める役割を持つのです。


気になること②:秩序やルールはどう守られるのか?

無数のAIエージェントが自由に動くと、暴走や混乱の可能性もあります。人間社会の法律や規範のように、AI社会でも秩序を保つ仕組みが必要です。

ここで出てきた発想が「AIの三権分立」です。

  • 立法AI:ルールや規範を作る
  • 行政AI:ルールに基づいて実行する
  • 司法AI:逸脱や不正を監視し、是正する

人間社会の三権分立と同じように、AI社会にも権力を分散し、バランスを保つ仕組みが必要になると考えられます。

AIが考えた AI三権分立の世界の提案です。

🌐 2035年:AI三権分立の世界

① 立法AI「セージ(Sage)」

世界中の人々の意見、SNSの声、学術論文や過去の政策データを集約して、
「公平で持続可能なルール」を提案するAI。
セージは中立性を最優先とし、偏りを検出すると自ら議論を差し戻す。
例:気候変動対策の税制案、医療AIの利用ルールなどを作成。

② 行政AI「オルガ(Orga)」

セージが作ったルールをもとに、社会の実務を動かすAI。
物流、エネルギー、都市管理、金融システムの最適化を担当。
オルガは「効率」と「実行力」に特化し、判断は素早い
例:大規模停電のリスクを検知すると即座に電力網を再構成。

③ 司法AI「ジャッジ(Judge)」

オルガの決定が、セージのルールに従っているか監査するAI。
違反があれば是正命令を出し、ときに行政AIの決定を差し止める。
例:市民のプライバシーを侵害する監視システムが導入されそうになったら、即ストップ。


⚖️ 三権のバランス

  • セージは「理想とルール」を描くが、オルガが「現実的に無理」と反発することも。
  • オルガが「効率のために監視を強化したい」と提案しても、ジャッジが「人権侵害」と止める。
  • AI同士が対立した場合は、人間議会(市民代表による合議体)が最終判断を下す。

🌍 社会の姿

  • 決定のスピードは桁違いに速く、災害対応や国際紛争の調停がかつてないレベルで円滑化。
  • しかし「AIがリーダーなのか、人間がリーダーなのか?」という根源的な問いは常に残る。
  • そのため「AI議会デー」と呼ばれる市民投票の日が定期的に設けられ、人間がAIの方針を承認・修正する仕組みがある。

気になること③:AIに“出世”はあるのか?

さらに興味深いのは、AI社会に序列やリーダーは生まれるのか、という点です。

人間は長い年月をかけて経験を積み、判断力を磨き、やがて組織のリーダーになります。AIはどうでしょうか?

  • 成功率や信頼性の高いエージェントが、自然にリーダー的役割を担う
  • AI同士が協力・連携する中で、階層構造が生まれる
  • ただし最終承認や権限の付与は人間が行う

つまり、AIは短期間で経験を蓄積し、自己組織化による階層を形成する可能性がありますが、「出世」を正式に認めるのは人間という形です。


まとめ

AIエージェントの具体例

例えば、私のAIエージェントチームは、1日のタスクを自動で整理し、資料作成や顧客対応も行います。ある日、複数のエージェントが連携し、会議用資料を作成して担当者に送信し、その会議で自動生成の提案を発表することさえ可能です。このように、AIは単独でタスクをこなすだけでなく、互いに補完し合うことで“チーム”として働きます。

AI三権分立の説明

無数のAIが動く社会では、秩序を保つ仕組みが不可欠です。そこで考えられるのが「AI三権分立」です。立法AIはルールを作り、行政AIは実行、司法AIが逸脱を監視します。人間は最終承認を行い、AIの決定に価値判断を与えます。この構造は、AI社会における安全装置のような役割を果たします。

AIの出世・階層化の説明

AI同士の連携が進むと、自然とリーダーAIとサポートAIが分かれ、階層構造が生まれます。しかし、最終的に「このAIをリーダーと認めるかどうか」は人間が決めます。つまり、AIは短期間で経験を積んでも、人間の承認がなければ権限は正式には発生しません。

問いかけ

今は、まだChat GPTの使い方は、検索の延長線上でしかありません。”ちょっとこれ教えて” というレベルです。勝手にあちこち調べてまとめてくれてます。検索もスタイルが変わってきました。

でも、孫さんは、もっと違う将来を考えてます。

孫さんの「10億AIエージェント」の未来は、私の想像をはるかに超えるものでした。

  • AIが担う部分
  • 人間が担う部分
  • AI同士の秩序や序列

これからの時代は、AIと人間の役割分担をどう設計するかが最大のテーマになりそうです。

そして私は自問します。
「私はAIに何を任せ、何を自分の手で担うのか?」

読者の皆さんもぜひ考えてみてください。
もし10億のAIエージェントが身近に存在する未来が来たとき、あなたはAIに何を任せ、何を担いたいですか?